心つながるやるらぎの宿 熔岩流とハナコの里
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岩手山伝説

岩手山と姫神山の夫婦別れ

 昔、岩手山は南部富士と言われるように、男ぶりのよい雄神で姫神山を迎えて夫婦になった。
姫神山はさほど美しくなかったので、岩手山は姫神山を側室にした。
このことを知った姫神山は、くやしくてたまらず激しく怒ったりやきもちをやく日々の連続であった。

あまりにしつこいやきもちに耐えかねた岩手山は「おれの眼のとどかないところに出てゆけ」と言って、ぼんだす(追い出す)ことにして、その送り役をオクリセンという家来にいいつけ、「姫神山をおれの眼のとどかない所に連れて行け。もし命令にそむいたら、お前の首はないものと思え」と激しく申し渡した。オクリセンは姫神山に世のはかなさを説いて、遠くへ連れて行こうとしたが、姫神山は身のよりどころのない悲しさを泣訴し、遠くへ行こうとしなかった。
オクリセンは板挟みになって困ったが、女の涙に弱いのは男の常である。岩手山の怖さを恐れ、姫神山の哀れさに同情してしまい、岩手山からは北上川をへだてたばかりの所に座らせた。

 その後の結末を語り部ならこう言うであろう。
 「次の日の朝ま、岩手山が眼をさましたら、なんと姫神山が眼の前に座っているんじゃネエの。

まだ寝ぼけてるのがと思ってまなぐ(眼)を何度もこすってみたドモ、やはり姫神山なのでどうでん(驚く)したあとは、かんしゃく玉を破裂させたど。顔を真赤にし口から火を噴き、あたり一面サ煙と焼石を吹き飛ばしたから、たまらながべ。山は大ゆれし、谷は鳴り、ほんとうに地獄みたいになったド。岩手山の怒りはそれだけではおさまりきらないで、命令にそむいたオクリセンを呼びつけて首を切り落としたんだド。オクリセンの山のてっぺんが平たいのはそのためで、切られた頭は岩手山に食いつくように飛んでって、鞍掛山になったド。

地元八幡平市大更の五百森部落は、その時姫神山が後の形見にと手に持った巻子(へそ)を撒き散らしたものであり、赤い小石の多い赤川はやはり、姫神山が形見にお歯黒(昔の女性が歯を黒く染める風習があったころの染料)を流した跡だとしてうる書もあるが、岩手山が怒って口から火とともに噴き出した焼け石が五百森だとした方が自然で、今も子供たちも納得するのではなかろうか。

巌鷲山と鷲(がんじゅさんとわし)

 昔々、この辺にはまだ人が住んでいなかったころ八戸地方には田も畑もあった。
 ある年のこと、八戸地方に一羽の大鷲が現れ田畑を荒らすので百姓たちはひどく困っていた。

そこにたまたま仙台方面から一人の乞食(こじき)がやって来たので、その乞食に鷲が来たら追い払うように見張り番をさせた。 ところが困ったことに、見張り番が立っていても鷲は恐れずに田畑を荒らしあげくの果てに、四歳になる子供までさらわれてしまった。乞食は「これァてぇへん(大変)」と大慌てて、わらはばき(ワラで作ったひざあて)を結びなおして鷲を追いかけた。

鷲は一気に飛び去るのではなく、追いつかれて捕まりそうになれば飛び、また止まっては捕まりそうになれば飛ぶを繰り返すので、ついつい岩手山まで来てしまった。 鷲は大きな岩に止まったか思ったら、たちまち神さまの姿になり乞食に向かって、 「わしは鷲ではない。この山の神霊である。この山はまだ開かれていないので、お前にノギノ王子という名前を与える。この山を開いて祭りごとをせよ」と言い さらってきた子供をかかえて、いずこともなく消え去ってしまった。乞食は仕方なく八戸に戻って見たら、荒らされていたと思っていた苗代はもとどおりになっていて、苗はすくすくと伸びており、男の子も無事であった。

 結末を語り部(かたりべ)の口調を借りて言えば、  「ほいど(こじき)からこのことを聞いた村の人たちは、どうでん(驚く)して、荒らされてもいないのに荒らされたと思ったことを悔やみ、みんなで神霊を祭ったド。このことがあってから岩手山を巌鷲山と呼ぶようになったド。どんとはれ(これでおしまい)ということになる。

因みに、岩手山に登山した時、奥宮で唱える祝禱詞に「南無正一位岩鷲の権現大権現シンメノゴル大峯は三十六童子 大宮本社は三社の権現田村明神ノギノ王子一時に御本尊ワラハバキの一時礼拝」がある

つる子と焼走り

 昔、あるっけド。平笠にまたぎ(猟師)の父娘が住んでらっけド。
 おど(父親)が山さ出がげるど、一人娘のつる子はいつも家の外さ出て山ア眺めておどの帰りを待っていだっけド。あるどぎ、おどは獲物がないのでお山(岩手山)の中ほどの岩場サ休んでらっきゃお山ァなんの前ぶれもなくとんでもねえでっけい(大きな)音たでで火を噴き、山の中ほどがら真っ赤に焼け熔げた岩がドロドロと流れ出したけっド。おどはどうでん(動転)して、スッテンこくり(一目散)逃げだズども、赤くドロドロした岩の流れは早くて、逃げても逃げても追いがげられ呑み込まれそうになったズもな。おどは「もうわがんねえ(駄目だ)」とあきらめたどぎ、ひょっと見たばそばに、やはり逃げれなくなってすくんで震えている一匹の白い小蛇が居だけド。情け深いおどは、「おめえだけでも助かれや」と言ってその小蛇をつかみ、高い岩のてっぺん目がけて投げだズが、それとほとんど一緒におどは、真っ赤に焼げ熔げた岩の流れに押し流されてしまったけド。 家でおどの帰りを待ってだつる子は、火を噴き焼げ熔げた岩の流れるのを見で、おどのことを心配し声がかすれるまでおど・おどオって呼び続けだド。

 つる子は、焼げ熔げた岩の流れが止まって冷えてしまってからも、その上に座って何日も何日もおどの無事を山の神サ祈っていだら、ある日思いがけねえことが起こった。 お山の上に白い雲が出てその雲の中がら白い大蛇が舞い降り、やさしくつる子抱いてまた白い雲の中サ消えて行ぐのを、村人たちははっきりと見だけド。 不思議に思った村の人だちァ、山の神さま拝んで聞いだきゃその白い蛇はおどが今わの際に助けた小蛇で、菩薩さまはその蛇をお使いにして、親孝行のつる子をお度のいる天国サつれてこさせたのだっけド。
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